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【蚊が減る?!】みんなの森の木々が育つ環境をてづくりで元気にする2日間

はじめまして。みどり公園課の南です。
このマガジンでは、みどりに触れてみたい人や、公園で何かやってみたい人へ、ちょこっと役立つ情報を発信していきます。

今日は、4月28日(日)に開催した大地の再生ワークショップin生駒台みんなの森 Day1のレポートをお送りします。Day2は5月26日(日)に開催予定なので、どんな内容か気になる!という方もご覧くださいね。


大地の再生ワークショップって?

「大地の再生」とは、造園家の矢野智徳氏が提唱する、誰でも使える道具で森の環境を整える手法です。

仕事柄、樹木医さんや土壌の専門家のお話を聞くことがあるのですが、特にへぇ~!と思ったのが、植物育つには土ん中めっちゃ大事!根っこ呼吸できないと木は枯れる!ということ。
実際、生駒市の公共施設でも、枯れてしまいそうになった樹木の治療として、根っこが呼吸できるように、竹筒を根元に打ち込んで空気の通り道を作る、ということを樹木医指導のもと行っています。

日本にはまだまだ、人の暮らしのすぐ傍に裏山や森がありますが、お手入れをする人が減少し、荒れる山が増えてしまっています。そんな中、全国400か所以上で木々が育つ環境を元気にしてきたのが「大地の再生」のみなさんです。
特徴の1つが、誰でも参加できるワークショップ形式で活動を展開されていること。参加してみたところ、関西支部に所属する西尾 和隆さんが「公共的な場所でもやりたいんです!生駒市でフィールドありませんか?」と声をかけてくださったところから今回の企画が実現しました。

作業の手順を説明する西尾さん(写真中央・水色の服)

今回の企画

ワークショップ会場は、生駒市にある「生駒台みんなの森」。個人が所有される森を開放していて、2014年から毎月第4日曜日に、近所の方と森のお手入れをしたり、育てたシイタケや山菜を採って食べたりしています。

草刈りに激ハマりする近所の少年

お手入れの甲斐あって多様な生き物の住まう明るい森ではあるのですが、ある悩みが。

夏場の蚊の多さが尋常じゃないんです。

もう虫よけスプレーじゃ効かなくて蚊取り線香を腰に括り付けるレベル。
他にも、森の中央の水はけが悪くてぐじゅぐじゅとぬかるみやすく、手作りのベンチが腐ってしまったり、シンボルツリーだね、と言っていた大木が何本か枯れてしまっていたりしました。

自然ってそんなもんかな、と思っていたんですが、西尾さんに相談したところ、草刈りとか水路掘りのやり方次第でかなり改善しますよー、とのこと。
まさかそんなことが・・・?と半信半疑(ごめんなさい)で上司に相談したら、「あ、俺それ知ってる!やりたい!」と。知ってるのか。山好きには有名なのか、大地の再生。

さっそく西尾さんと現地を下見に行き、2日間のワークショッププログラムを組んでいきました。その内容がこちら。

ワークショッププログラム

主な目的

  • 草を刈って空気の流れを良くして夏場の蚊を減らしたい。

  • 水路を掘って水を逃がすことで、水はけを良くしたい。

  • 地中の空気の通りを良くして枯れそうな木を元気にしたい。

生駒台みんなの森では毎月第4日曜日を活動日としているので、2か月分の活動日を特別編として大地の再生にあてることで実施が決定しました。

ワークショップレポート:Day1 2024/4/28

2回の雨天延期を経てようやく開催できたDay1は4月28日でした。
講師は大地の再生関西支部の西尾 和隆さん、加藤 博之さん、岩本 麻衣子さんです。

風の草刈り

午前中は谷筋に沿った草刈り。「風の草刈り」と呼ばれる方法で、根本から刈りすぎるのではなくほどよく残すことと、空気の通り道を作るように刈ることがポイントだそう。草刈り機を使うこともあるそうですが、今回はワークショップなのであえての手刈りです。

どう残そう?と考えて刈ると楽しい

草刈りは例年やっているのですが、この方法で刈ってみたところ、途端に森の中まで風が吹き抜けていきます。これ、ぜひ体感してほしい。ジメジメしていた広場がさわやかな空気に包まれて、まるで魔法のようでした。

もちろん、どこで草刈りをしても風が起きるということではないのだそうです。今回風の草刈りをしたのは、対象地の中でも谷筋になっている場所。そこがうっそうとしていたから斜面を降りてくる空気が流れずに淀んでいる、という見立てのもと、刈る場所を決めたのでした。

Vの字に刈って風の通り道をつくる

広場の水脈づくり

午後は水脈作り。つるはしとスコップで掘った水路の脇に、土が崩れないよう杭を打って、間伐材の枝葉でしがらを組んで土留めにしていきます。自然素材を使うことで、水が地中に染み込んで行くように工夫しています。

もはや土木

どのルートに水路を掘るのか?は、現地の地形や木の根元の土の色で講師が判断していきます。掘り始めて2時間ほど経った頃、水路に水が流れると、ぐじゅぐじゅとぬかるんでいた地面から水がはけ、飛んでいた小虫も減っていきました。

この後水が湧きました

参加者の感想

  • 山や森の手入れは長年関わっているが、風や水の流れ、土壌を育むことを意識したのは初めてで、新たな発見があった。

  • 風が吹くのがはっきりわかった。変化がありありとわかるのが大地の再生ワークショップの醍醐味だと思った。

  • 次回も参加して、変化を見届けたい。

風が吹いたのって天候の変化じゃないの?ぬかるみが引いたのって土が乾いただけじゃないの?と言ってしまうこともできるかもしれません。
でも、自分の手で土や草に触れて、こうしたら山が元気になるんじゃないか、という試行錯誤は日本人の暮らしの中にあったはずだし(私の祖父も山守でした)、現代にそうやって育む手触り感が自分の家以外の場所にあるのは豊かなことじゃないか、と思うのです。

こどももみんなで見守る

次回に参加したい方は:Day2 2024/5/26

次回Day2は5月26日(日)に開催します。Day1の続きですが、Day2からでも参加いただけるようにしていますので、気になった方はぜひお越しくださいね。参加費無料、申込不要、出入自由です。

生駒台みんなの森はいつでも、だれでも入ることができる場所です。第4日曜日午前には、遊んだり手入れしたりしています。
今回のワークショップで学んだ「土の中の環境」も踏まえた森づくりに参加したい方、ただ自然の中で遊んでみたい方も、いつでもお越しくださいね!

近所の農家さんからこどもまで来ています

※生駒台みんなの森に駐車場はありません。自転車またはバスでお越しください。